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「第五回花鳥画に音楽をのせて」より ”Deux Regards"《二つの眼差し》〜ポール・ジャクレーの浮世絵作品の印象による〜(2024年)

YouTubeへアップ致しましたので、ぜひお楽しみください。

「第五回花鳥画に音楽をのせて〜ポール・ジャクレー」
2024年3月30日 musicasaにて収録

2020年春に始めたこの「二羽の鳥バトンリレープロジェクト」(”Two Birds Baton Relay Project”)では世界中の美術と音楽のアーティストに参加して頂き、同秋に東京で立上げたのが花鳥画に音楽をのせてと名付けた委員会でした。この委員会は大学時代の友人、知人に声がけし、色々な美術、音楽のジャンルの専門家でできた委員会です。
今回の第五回は、約二十年間温め続けてきた念願のポール・ジャクレーを取り上げる企画が叶いました。少しでも芸術界を活気づけられたらと意気込んで始めたこれらの企画も、今振り返ってみると先生達、仲間やお客様のおかげで順調に回を重ねることができました。心から感謝しております。子供の頃から大好きだった美術の世界、クラシックの世界とのコラボは、私の理想の世界であり、実際に私自身が一番楽しませてもらったのかもしれません。
この企画のように異ジャンルの人間が一緒に何かをする時に、皆が満足のいくものを作るということは非常に難しい作業でしたが、この挑戦をとおし自分への謙虚さとお互いへの尊敬の念の大切さを学ばせていただきました。この気持ちがあれば世界ももっと平和になるのではないかと思わずにはいられません。この気持ちを持っていらしたのではないかと感じている、日本で暮らしたフランス人浮世絵師、ポール・ジャクレーの名品と共に、心ゆくまで ”Deux Regards”《二つの眼差し》をお楽しみいただければ幸いです。     
 花鳥画に音楽をのせて実行委員会 代表 常磐津文字満咲

ポール・ジャクレーの自作作品解説文(仏文)より抜粋 
阿部俊祐作曲 
”Deux Regards"《二つの眼差し》
〜ポール・ジャクレーの浮世絵作品の印象による〜(委嘱初演)
I :Chagrins d’amour《失恋》
II :Le chant des vagues《波のうた》

【解説】
Deux Regards(ドゥ・ルギャール) 《2つの眼差し》は、ポール・ジャクレーの「Chagrins d’amour(シャグラン・ダムール)《失恋》」、「Le chant des vagues(ル・シャン・デ・ヴァギュ) 《波のうた》」の2つの浮世絵作品からインスピレーションを受け、ジャクレー自身の作品解説文をテキストとして用いた作品である。ジャクレーの精神に敬意を表しつつ、音によって西洋と東洋の2つの眼差しが融合する様を描いた。
奇しくも今作で取り上げた2つの絵に描かれた人物の眼差しも、左右対称の方向を向いているのが印象的であった。

I : Chagrins d’amour《失恋》
「失恋」というタイトルではあるが、哀しみの色を感じさせない、色鮮やかで優しさに満ちたような印象を受け、その印象を楽曲の大きなコンセプトとし、南洋の香りをエッセンスとして付け加えた。
西洋風な前半部分と東洋風な中間部。後半部で洋の東西は融合して全体で大きく歌い上げ、最後は冒頭部分の響きが余韻のように流れ消えゆく。

II : Le chant des vagues 《波のうた》
褐色の肌を持つ健康的な青年が、貝殻が奏でる波の歌を聞いている。彼の眼差しの先には広大な海が見えているような印象を持った。
楽曲は、小さな波、あるいは洋上を撫でる潮風を描写した運動から始まり、曲の最後までひたすら強さと深さを増し続ける。青年が耳を傾け思いを馳せているかもしれぬ、大洋の深淵から鳴り響く生命の渦を描いた。

龍笛:安達圭花 ADACHI Keika
唄:常磐津文字満咲 TOKIWAZU Mojimasa
三味線:KIKKAWA Aimi
チェロ:大澤哲弥 OSAWA Tetsuya
ピアノ:藤原亜美 FUJIWARA Ami

【詞章】
第一楽章 ”Chagrins d’amour”《失恋》

Jeune fille de l’ile de Kousaie.
Son fiancé l’a quittée.
Á son perroquet elle confie sa peine
et veut lui apprendre le nom du fugitif
pour se l’entendre sans cesse répéter.
Chagrins d’amour.

クサイエ(カロリン諸島南部)の娘
彼女の婚約者は去っていった
彼女はオウムに悲しみを打ち明け
去った人の名前を教えて
オウムがたえずその名を繰り返すことを望んでいる
失恋

第二楽章 “Le Chant des vagues”《波のうた》

Ephèbe de I’ile de Ponape,
la Perle du Pacifique.
Dans une conque il écoute le chant des vagues,
les yeux vers le large…

「太平洋の真珠」と言われる
ポナペ島(東カロリン島)の美青年
彼は沖合に目を向けながら
ほら貝に耳を当てて波の歌を聴いている

フランス語:ポール・ジャクレー Paul Jacoulet
和訳:猿渡紀代子 SAWATARI Kiyoko
作曲:阿部俊祐 ABE Shunsuke

浮世絵:ポール・ジャクレー Paul JACOULET
チラシ描画:加藤ゆわ KATO Yuwa
ロゴ・題字:サレム・カーラ・レネ Carla Rene SALEM

構成:小池満紀子 KOIKE Makiko
   常磐津文字満咲 TOKIWAZU Mojimasa
朗読台本原案:猿渡紀代子 SAWATARI Kiyoko
朗読台本構成:久野麗 KUNO Rei

撮影:辰巳唯人 TATSUMI Yuito 
籏野雅春 HATANO Masaharu
撮影・編集:櫛田智彦 KUSHIDA Tomohiko

特別協力:ポール・ジャクレー遺族

協力:株式会社広隆社 
   中外産業株式会社
後援:日本モンポウ協会

Copyright 
ポール・ジャクレー 《失恋、南洋》 《波の音、東カロリン群島》 
© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2023 E5449

主催:花鳥画に音楽をのせて実行委員会

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